2017年からスタートしたこの税制ですが、医療費が10万円以上かかった場合に適用される医療費控除(所得が200万円以上の場合)に対して、スイッチOTC医薬品と言われる医薬品の年間購入額が12,000円を超えたら適用できる制度です。
スイッチOTC医薬品とは?
スイッチOTC医薬品とは、もともと処方箋医薬品として医師の処方箋が必要であった医薬品が、その臨床経験から効果、安全性等を評価され、OTC(Over The Counter 店頭で購入可能)にスイッチ(転用)された医薬品を指します。
現在、約1830品目が対象となっています。有名なものとしては、胃腸薬のガスター10や花粉症薬のアレグラ、湿布のサロンパスなどです。
そもそも、セルフメディケーションとはどういう意味かと言いますと、「自分自身の健康に対して自ら責任をもって軽度の体調不良に対しては自らで手当てすること」とWHO(世界保健機構)は定義しています。
自分の健康は自分で管理し、積極的に健康管理に関与し、OTC医薬品を上手に活用することで、軽度な体調不良には対応しましょう、という意味となっています。
つまり、この税制の趣旨は、国民に市販薬の使用を促し、その結果として医療機関への受診を抑制することで、国の医療費を削減したいという目的で導入された税制となっています。
セルフメディケーション税制で控除できる金額
この税制で控除できる金額は、購入したスイッチOTC医薬品が12,000円を超えた部分、最高で88,000円まで(購入金額で10万円まで)となっています。
そして、この税制を利用するには、前述のとおり、積極的に健康管理に関与していることが条件となっていて、特定検診や人間ドッグ、がん検診、予防接種等を受けていることの証明が必要となっています。
ただし、これら健診等にかかった費用は控除の対象にはなりません。
また、このセルフメディケーション税制は医療費控除との同時利用はできませんので、どちらを適用するかは個々のケースによって変わってきますので、注意が必要です。
例)医療費が年間9万円、OTC医薬品購入が5万円の場合(総所得200万円以上の方)
・医療費控除: 14万-10万=4万
・セルフメディケーション税制: 5万-1.2万=3.8万 この場合、医療費控除が有利
セルフメディケーション税制又は医療費控除を受けるためには、健診等を受けた際の領収書や結果通知表、医薬品を購入した際のレシート等が必要になりますので、必ず保存しておくようにしましょう。
レシートの記載例
- 商品名
- 金額
- 当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
- 販売店名
- 購入日
引用:日本一般用医薬品連合会
セルフメディケーション税制の対象医薬品(令和2年9月現在)
セルフメディケーション税制対象品目一覧については、以下サイトに掲載されております。